2018
07.01

せんべろ

メンバーブログ, 澤田知明

「せんべろ」という言葉がある。

1,000円でべろべろに酔えるような安飲みの状態、またはその酒場を意味する。
(酒飲みであればせめて3,000円くらいはないとべろべろにはなれないと思うが、そのくらい安いという意味で・・・)


オフィスから程近い所にも、せんべろ酒場がある。


スタンディングスタイルのそのお店は、
店に入るなり場所を指定され、不愛想な中年店員から
「いらっしゃい。今日は?」
とファーストドリンクを聞かれる。
「今日は何からいく?」という意味で、客側からすると顔を覚えてもらってるという常連心をくすぐる問いかけである。

「ビールで」
と答えると、間髪入れずに
「今日はマグロだよ」
とその日のおすすめメニューをすすめてくる。
大体の客は、来店からファーストオーダーまで流れに身を任せているため、「じゃあマグロも」となる。


料金の支払いは注文の都度で、
商品とお金は受け渡しが基本だ。
そのため小銭をテーブルに置いておき、店員がそこから持っていく形式。
店員がたまにお釣りの金額を間違えるが、指摘しても悪びれることない。
ここでは日本のサービス業のスタンダードとなった「お客様至上主義」的な過度な接客を期待してはならない。
大体タメ口だし、店員同士の私語はもはやBGMとなっている。


コの字型のカウンターテーブルの店内中央にはテレビがあり、
皆がそのテレビを見たり、読書しながら飲んでいる。
もちろんというか、客層の100%が男だ。
しかしなんと言っても、ここは安くてうまい。
もつ煮や冷奴、えだまめなどの定番メニューはほぼ160円。
一番高いフードでも300円程度である。


そしてタイムセール的に「馬刺し入ったよー」とトレーに小皿を乗せて移動販売をしてくるのだが、
飲み手としては、160円のつまみで安く上がっているからいいかという心理もあり、
ついつい買ってしまう。
しかも、俺も俺もとみんな買っていくのでトレーから皿がなくなっていき、
自分の所に来るころには売り切れ寸前になっており、
購買欲にも拍車がかかる。
味は当然、美味。
このイベントがしょっちゅう行われる。


ひっきりなしにお客が訪れるこのお店から学ぶべきことは多い。
お客が求めていることは、必ずしも「良い接客」や「安い価格」とは限らないということ。


品質が良いことは前提に、
居心地の良さや、サービスのサプライズがある。
そして、敷居がやや高い。


僕の好きなラーメン二郎にも通ずるところがあるのだが、
少しとっつきにくいからこそ、終わったあとの満足度が高く感じられる。
お店が決めた型に身を委ねてサービスを受けることは
一見すると不自由に思うかもしれないが、
プロの提供するものにまずは乗っかってみるということ。


意外とこれが心地良いのだ。


せんべろ酒場には1,000円以上の価値があるのかもしれない。
 

※写真は浦和のせんべろ酒場。ここも安くて最高にうまいです。

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澤田 知明

澤田 知明

秋田県生まれ。 ギタークラフトスクールを卒業後、ローディーを経てWebの世界へ。 Webマーケティングを中心に企業の課題解決に貢献する、戦略コンサルタント。
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