2013
12.01

ジャージ姿の少年が歩いてきた。

代表

12月に入った。寒い!!

ここしばらくの間、日曜日に1週間の仕込みをするというサイクルが定着し、
いつも通り、今日も朝からオフィスへと向かう。

最寄駅までいつもの道を歩いていたら、
青いジャージ姿の少年が、前からトボトボと歩いてきた。

なぜか、その少年と目が合う。チラリ。チラリ。
節目がちであるが、断続的に2回ほど。

だんだんと近付いて来る。

そして3回目。

おっかなびっくり、その少年は声をかけてきた。

少年:「すみません・・・○×○×グラウンドはどこですか?」(か細い声で。)

自分:「オイオイ、全然場所が違うぞ。なんでこんな所まで来ちゃったんだ??」

少年:「交番で聞いたら、駅から歩けば着くと言われたんです。」(か細い声で。)

自分:「その交番で聞いたこと、デタラメだぜ。」

少年:「ここに行きたいんですけど・・・試合が12時からなんです。」(自分のスマホの画面を見せてきた。)

自分:「よく見せてみ。」(と、彼のスマホを奪い取る。)

そもそも降りる駅が違う。

自分:「よし、オレもこれから電車乗るところだから、途中まで一緒に連れて行ってやる。」

少年:「電車でですか・・・」(か細い声で。)

しばらくして、顔を歪ませながら、小さな声でつぶやく。

少年:「お金が・・・」(蚊の鳴くような声で。)

自分:「なんだ、金がないのか?いくら持ってんだ??」

いかにも小学生が持ってそうなマジックテープの折り財布の中身を見せてもらう。(正確には、奪い取る。)

小銭ばかりの
・・・213円。

自分:「それじゃ、おれが1000円やるから、電車乗って今から急いで行け!
12時のキックオフならたぶん間に合うから。」

一瞬、幼げな顔が明るくなった。

スマホと財布を彼に返して、
歩きながら、行き方や所要時間、乗るバスの番号まで調べて教えた。

髪はやや長めのストレートヘアで、いかにもサッカー少年って感じで、
同級生の女の子からもモテそうなイケメン少年。

道すがら、彼といろいろ話した。(正確には、一方的に話かけた。)
どこから来たのか、友達には連絡したのか、何年生か、サッカー好きか、ポジションはどこか、などなど。

少年:「飯能から来ました!」
少年:「誰も電話つながりません!」
少年:「中学1年です!」
少年:「練習はキツイですが、サッカーは好きです!」
少年:「ポジションは、センターバックやってます!」

彼から声をかけられることはないが、
こちらから質問すれば、毎回、一言だけで即答。
手には、渡した千円札をそのまま握りしめている。

少しづつ打ち解けてきたので、さらに話を続けた。

自分:「交番だからってな、何でも信じちゃいかん。」
自分:「言われたことがおかしいと思ったら、分かるまでキチンと聞き直せ。」
自分:「それと、そんな弱っちい顔してちゃ、サッカーやったって相手のフォワード削れないだろ。」
自分:「ディフェンスは体張って、攻撃食い止めるんだろ。」
自分:「点を取られる時はあるかもしれんが、絶対に気持ちで負けたらダメだ。」
自分:「今日は遅刻してきて、監督に怒られるかもしれないが、いいプレーして見返すしかないぞ!」

気付けば、明らかにオヤジの説教状態・・・

そうこうしていると、途中の乗り換え駅に着いた。

彼は無言でホームに降り、そのまま行ってしまうかと思ったら、人混みに反して振り返った。
サッカーボールがふたつも詰め込まれたPUMAのデッカイリュックサックを背負いながら、

少年:「ありがとうございました!頑張ります!!」(ハキハキした声で。)

と言って最敬礼し、彼は小走りで階段を登っていった。
乗客は、何事だろうと怪訝な目でオレを見つめていた。

そんなことはいいとして、
なんだか15分程の出来事だったが、自分の心を洗われた気がした。

そして、少年時代、自分もそんなことがあったなあ、と思い出した。

少年よ、これから困難があっても、頑張って前に進もう!

でも。

今や、オヤジ化した自分自身が、
もっと素直になれ、見知らぬ場所でももっと頑張れ、
と言われているのかもしれないと思った。

年に数回。不思議なことは、突然やってくる。メッセージ付きで。

10年後、彼が成長して面接しにきたら、この不思議な話も完結するのだろうが、
未来は分からないし、お互い、名前も知らない。

でも、起きたことは、全て正しいのだろう。

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野原健太郎

■株式会社スピリタスコンサルティング創業者兼代表 ■経営財務コンサルタント ■好きな言葉:「できた?」 ■嫌いな食べ物:「グリーンピース」 ■叶えたい夢:「史上最大のお祭りをやること。」 ■血液型:典型的B型

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